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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第八章 開花②

昏い夜を抜けて400

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 徳島阿波踊り空港最寄りの警察署に留置されて30分。
 二手に別れた私服警察官によって、なぜか類は飛行機に一人乗せられ、つくしを四国に残してすでに東京へと旅立っていた。
 別れ際、不安感たっぷりな彼女を抱きしめ、頬に手を当ててくれて、
 『大丈夫、心配しないで。何も怖いことないから。すぐに迎えが来るからね』
 何がなんだかわけがわからなくって、類がどうなってしまうのか、自分がどうなってしまうのか不安で仕方がなくって…。
 つい周囲の状況や他人の目を忘れてしまっていた。
 気がつけば…濃厚なラブシーンを繰り広げてしまう…前に気がついたのは重寵だっただろう。
 もっとも、外国映画に出てくる俳優のような外見の類はともかくとして、きわめて並みの日本人顔の自分に対する妙な幻想はもっていないつくしは我に返るのも早かった。
 …は、恥ずかしすぎる。
 二人を同行させながら、隣を歩いてた警察官の生ぬるい視線に死ねるのではないかと思ったが、ちゃんと今生きてここにいる…。
 …と。
 「あんたさ、何やったの?」
 テレビで見るレトロな牢屋そのままの板の間に束の間同居することになった、いかにも水商売風な外見の女性に声をかけられそちらへと向き直った。
 「え、何って、別に…」
 …これってやっぱり、類のスピード違反が原因じゃなくって、あたしがなんかやったってこと?
 まったく身に覚えがない。
 確かにこれまでの人生いろいろなことがあったが、少なくても犯罪だけは犯したことがない。
 …つーか、被害者だったことは山ほど身に覚えがあるのに~。
 高校時代から、集団暴行、レイプ未遂、脅迫、傷害と、とんでもない経験をさせられ続け、挙句の果てに、大人になってからも…。
 ハッと我に返る。
 …まさか、類。
 「聞いてるの?」
 つい自分の思考に囚われそうになり、目の前の女を無視して険のある声で再度呼びかけられてしまった。
 「…何もしなくて、留置所になんて入ることになるわけないでしょ?」
 「り、留置所」
 いやもちろんわかっていた。
 だが、いざズバリと言われると、かなりショックだ。
 「見た目、けっこういいとこのお嬢って感じなのにねぇ」
 「え…、お、お嬢ですか?」
 間違ってもそんなことを言われたことがない。
 だがすぐに、類に買い与えられたブランドものの衣類やアクセサリー類が、相手にそういう印象を与えていることに気がつく。
 …うーん、これも馬子にも衣装?
 いる場所が、留置所ではどんなお嬢様だ、というところではあるが。
 「もしかして、あんた結婚詐欺師?!」
 「はぁ!?」
 とんでもない相手の発想に目が点になってしまう。
 「あんたみたいなフツーっぽい見た目の女ほど、魔性の女なのよね」
 「……」
 「あたしは何もいらないの、とか言って、健気なところが可愛いとか言って男ははまり込むのよ!」
 「…いや、本当に何もいらないんですが」
 「で、貢がれまくり、尽くされまくり!」
 …スルーかよ!
 どうやらつくしの言うことはまったく聞いてないらしく、勝手に喋って、自分の言葉に憤って息巻いている。
 「人生舐めきってんのかっつーのッ!こっちがすっごい努力して、男に媚びて我も殺して頑張ってるっていうのにッ!!どうして、こう努力しない女がウケて、あたしみたいな女がすぐ男に捨てられちゃうのよぉッ。あたしがどれだけ頑張って、あいつに貢いだと思ってんの!あげくの果てに…ウリやってた店が摘発されちゃってさッ!」
 「……あのぉ」
 高まるテンションに恐れをなして、つくしが女に声をかける。
 と、先程までガッチリ閉められていた鉄格子付きのドアが、施錠を外される音とともに外側から開けられた。
 「…牧野つくしさん、出てください」
 「お迎えがッ!もしや、もうムショ送り?あんた……頑張りなよ」
 妙にしみじみ励まされ、言葉が詰まった。
 …助手席に座ってても罪に問われるのって、飲酒運転だけだよね?
 「なんだよ、ずいぶんシケたツラしてんな」
 聞いた覚えのある声が、頭上からかけられる。
 「……あんた」





 「……で、なんで、俺が呼ばれるわけ?」
 留め置かれた羽田空港直近の東京空港警察署の取調室。
 大汗をかいた警察官幹部に囲まれ、迷惑そうな高階が溜息をつく。
 「だって、お前が一番近くにいたからでしょ?」
 勝手にパイプ椅子を並べて、寝そべった類の顔にまったく緊張感はない。





 平謝りの警察官たちを適当にいなし、類と高階が連れ立って警察署を後にした。
 「…まったく、俺はさっき北海道出張から戻ってきたばかりなんだぞ?」
 「そのまま真っ直ぐ帰ればいいのに、日曜だからって横着して、付近のホテルに宿泊しようとしたのが仇になったね」
 「……」
 人に迷惑をかけておいて、この言い草…。
 しかし、高階も類には嫌というほど慣れていた。
 「で?何があった?いきなり、お前から電話があったと思ったら、身元引受人で迎えに来てくれっていうのはいったいなんなんだ」
 「ん~、その場で花沢の名前を出してゴリ押し釈放してもらうよりマシでしょ?」
 「……よく連行させたな」
 「俺のこと知らなったみたい。って、いうか、普通の平巡査とかそういうのが、俺が誰かなんて、そうそうわからないものなんじゃない?」
 
 「どうだろうな。お前や道明寺なんかは、F4としてわりにメディアに露出してるからな」
 普通財界人はそうそうパパラッチの被害に合うような注目のされかたはしないものだが、類たちはその容姿やステータスで注目度が高く、また企業戦略の一つとしてもあえて自ら打って出ていた。
 類は肩を竦め、高階がロックを解除した車に乗り込む。
 助手席、もしくは後部座席が本来、類の座るべき場所だ。
 「なに?お前、自分の車で来てたんだ?」
 「…お前とは立場が違ったからな」
 違うではなく、違った。
 「これからは一緒というか、逆転してるんだから、お前も気楽に一人で出歩くのはやめた方がいいんじゃないの?」
 「…そうだな」
 高階のスムーズな運転で、車が発進する。
 「司にハメられたみたい。…牧野、あいつに持っていかれちゃった」





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