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「中・短編-」
Better Sweet Angel…9話完

Better Sweet Angel 03

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 「西門さん」
 驚いた顔をするつくしへと、総二郎が片手を上げる。
 寄りかかっていたバイクから身を起こし、彼が歩み寄るとその動きに合わせて、周囲の女たちの視線も一緒に移動して来る。
 そして…、
 「なによ、あの女!?」
 「…まさか、カノジョ?!」
 「嘘でしょ、ブスじゃん。釣り合わないッ」
 …釣り合わなくって悪かったわね。
 英徳学園内ではすでにつくしとF3が一緒にいる姿は見慣れたもので、いまさらやっかみ半分でも、イヤミを言われることは少ない。
 F3の不興を買うことをおそれていることもあるだろうけれど、大半はそれが普通だったからだ。
 そして、そんな彼らと常に一緒に彼女がいたとしても、つくしのことをF3の誰かのカノジョだなどと誤解するものはいなかった。
 …そりゃそうだよね。
 つくしが司の元カノであったことも、広く知られているのだ。
 「…なんだよ?ジッと俺の顔見たりして。ついに俺の魅力にマイっちゃった?つくしちゃん」
 「何言っちゃってんだか。あんたの自惚れには慣れてるけど、毎回よく恥ずかしげもなく言うもんだと感心するよ」
 心底うんざりしたように言うつくしの物言いの方が、よほど感心に値する。
 彼らに、そんなことを言える女など、世界広しといえど彼女だけだろうと総二郎は断言できた。
 「それはともかく、どうしたの?」
 「ん…」
 迷ったように口ごもる総二郎の様子があまりにらしくなくって、つくしは首を傾げる。
 …もしかして、けっこう深刻な事態でも起こったの?
 ここのところ、総二郎はいつもどこか歯になにか物が挟まったかのようで、憂えているくせにそれがいったい何が原因なのだか、誰にも話さないのだ。
 …もともと、この人たちってけっこう秘密主義だよね。
 世話になっている自覚がある。
 できることは少ないかもしれなかったが、恩返しの機会があれば彼にも報いたいつくしの思いがそこにはあって。
 「なに?どうしたの?ここじゃあ、話せないこと?」
 …何か悩んでいるの?
 「いや、そういうわけでもねぇんだけど…。お前、ここのバイト終わったら、真っ直ぐ帰るの?」
 背後の家は最近つくしが滋に紹介されたバイト先で、ここの中学生が来年、高校受験をする勉強を教えていた。
 家庭教師は割の良いバイトだが、滋が紹介してくれるようなセレブな生徒からのバイト料は特に破格で、つくしの懐をありがたく潤してくれている。
 とはいえ、その大半は家計費に回され、残りで学費のやりくりをしているので、英徳の特待生とはいえ、つくしの生活はまだまだ苦しかった。
 「ううん、もう1軒。今の時期、お受験に向けて夏休みだから稼ぎ時なの」
 「…そうか、じゃあ、次の家まで乗せていってやるよ」
 指し示されたバイク。
 慣れたもので特に不信は感じないが、だがやはり不信には違いない。
 「ほれ」
 渡されたメットを手に持ち、しばし悩む。
 「…どうしたんだよ?」
 「ねえ、ホント、なんか、用があったんじゃないの?」
 「用?」
 「うん。類や美作さんが4年生になって忙しくなってからは、みんなとの会合での送迎は西門さんがしてくれるようになったけど、今日って集まる約束していないよね?」
 「……」
 それどころか、次のバイト先までの送迎を申し出てくれている。
 ついでならともかく、わざわざ待ち伏せまでされたのは初めてのことで、本当は他に何か言いづらい用でもあったのかと、つくしが疑うのも当然のことだろう。
 「暑いし…」
 「はあっ!?」
 …当たり前じゃない、夏なんだから。
 怪訝なつくしに、総二郎も複雑な顔で、その理由が少しも思い当たらずなおいっそう不審が募った。
 「まあ、いいじゃねぇかよ。この辺の家の連中は家もデカイから、ちょっと数軒近所に行くだけでも一苦労だろ?」
 「うーん、さすがに道明寺のお邸みたいな大豪邸はそうそうないけどね」
 あっさり口に出された司の名前に、むしろ総二郎の方がたじろいだ。
 こうしてつくしはこわだわりもなく、容易に司の名前を話題に載せる。
 それは本当に司のことをフっきれたということなのか、それとも…。
 「あ、ヤバ、グズグズしてたら、約束の時間になっちゃう」
 「…乗れよ」
 「じゃあ、お言葉に甘えて、よろしくお願いします」
 さっきまでの躊躇はどうしたと言いたいくらいに、あっさりと総二郎の後ろに乗り込む。
 バイクのタンデムは慣れないうち乗りずらいものだが、つくしは総二郎の後ろに乗り慣れている。
 走行中の曲がり角での体重移動も慣れたもので。
 「しっかり掴まれよ」
 「うん」
 バイクにまたがって、総二郎の背に抱きついた。
 その途端、ビクッと背中が震えた。
 珍しい過剰な反応が怪訝で、つくしが横から総二郎の顔を覗き込む。
 「…西門さん?」
 「いや、行くぞ」
 バイクが発進した。
 …ドキッとしたなんて、言えるかよ。





 「ありがとう」
 目的地について、メットを返すと、つくしが礼を言ってさっさと踵を返す。
 背中を向けられると妙に別れがたく、つい用もないのに呼び止めて不審な顔をされてしまった。
 「…ホント、今日のあんた、おかしいよ、西門さん」
 「うるせぇな、せっかく帰りも送ってやろうって言う俺の好意を疑うなよ」
 「そりゃあそうかもしれないけど、いつもと違う行動されたら誰だって不信に思うよ。あ!」
 そこで何を思いついたのか、つくしが、ポンと両手を叩き合わせた。
 「もしかして、カノジョに振られて今暇だとか?」
 「…一人振られたって、両手にあまる女と付き合ってる俺が暇なわけないだろ」
 「うわあ、サイテー」
 いつものやり取りが楽しい。
 「ただまあ、ちょっとここのところ暑くて、新しい出会いを探す気力がわかねぇのも確かなのかもな」
 「ふぅん?」
 「つーことで、お兄さんが待っててやるから、今日の夕飯付き合えよ」
 「つーことで、がどこに係るのか、あたしにはちっともわからないんですけど」
 ああ言えば、こういう、少しも黙らないつくしに小さく舌打ちして、強引に丸め込む。
 「美味い飯、奢ってやるからむしろありがたく思え」
 「もう!ホント、強引なんだからッ」
 総二郎が、ヒラヒラ手を振り、つくしを追っ払う。
 プンンプンしている彼女が、それでも今夜の夕食を断らなかったことを、総二郎が内心ほくそ笑む。
 「あ…」
 「…なんだよ?」 
 振り向いたつくしが、申し訳なさそうに困った顔をした。
 「あたし、今日夜から約束があったんだった。…ごめん、ご飯、またにしてくれる?」 





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