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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第八章 開花②

昏い夜を抜けて387

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 「道明寺が滋さんを好きになるのか、それはあたしはあいつじゃないからわからない。でも、滋さんはすごく魅力的な人だよ」
 「…つくし」
 「その…もし、あたしが男の人だったら、絶対に滋さんを好きになっていたと思う」
 こんな拙い言葉で、果たして滋の心に響くだろうか。
 そう心配しながらも、つくしは今目の前で傷ついている友人の心を少しでも軽くしたかった。
 たくさんの人たちが彼女を助け、心を救ってくれたように、つくしも滋の力になりたかった。
 「まだ滋さんとは知り合って間もないけど、滋さんのことが大好き」
 ソファに横たわってつくしを見上げたまま固まっていた滋の顔が泣きそうに綻んで、ポロリと涙が頬を伝い落ちた。
 「…つくし~!!」
 「うぎゃっ!」
 しんみりした空気を突き破って、勢いよく飛びついてきた滋に押し倒されたつくしが素っ頓狂な悲鳴をあげる。
 「つくし、つくし、つくしぃ~~!!!」
 「…ぐるじぃ~」
 酔っぱらいの力は半端ない。
 本人にはその気はないかもしれなかったが、自分より背丈のデカイ女にほとんど羽交い締め状態でのしかかられているつくしは本気で絞殺の危機を覚えていた。
 …この状態、まるで椿お姉さんだよ~~。
 「あたしもつくしのこと大好き!!もう、両思いだね」
 「……はは、本当だね」
 もう酔っぱらいはしょうがねぇな、状態でそれでもつくしも大きく頷き苦笑した。





 「………ハァ~~」
 とりあえず絞殺の危機から脱出し、半ば寝入りかけてソファの背もたれに抱きついている滋を横目につくしはため息をついた。
 「そろそろ帰りましょうか、滋さん」
 「やだぁ、まだ飲む~」
 「いやあ、もう今日はやめといた方がいいですって」 
 さすがの酔っぱらいにも、ホトホト困り果てているつくしの気持ちがやっと通じたようだ。
 「え~、まあ、しょうがないかあ。…つくしは、デートなんだもんね~」
 「ええ?いや…そんな」
 「今日は邪魔しちゃったし、これでつくしが花沢さんにフラれたら困るから諦める」
 「ははは…」
 さすがにそれはないとは思うけれど、それでもドキッとする言葉に顔がひきつるのを自覚する。
 …あたし、どんだけ類が好きなのよ。
 「ねね、花沢さんってどういう人?」
 「え?」
 とりあえず滋の家の連絡先を聞いて…と算段を心の中でつけているとそんな質問をされ、滋を見返す。
 「花沢さんもすっごい美形だし、あたしから見てもハイスペックな男性だっていうのはわかるけど、司とはだいぶタイプが違うよね?」
 「……うーん」
 「そういえば、つくしの初恋の人ってどういう人?もしかして、司?」
 おそらくつくしのこと…というか司の女性関係は滋自身か、あるいは彼女の実家が滋との婚約前にあらかじめ調べていたのだろう。
 ある程度、つくしの身上についても滋は知っていたらしいが、さすがに初恋相手のことまではその身上書には載っていなかったらしい。
 「いや、…えっと、その類が、あたしの初恋の…人です」
 「え?そうなの?」
 聞き返されると、なんとなく気恥ずかしい。
 「そっかぁ、初恋の人と恋愛を成就させたんだね。花沢さんって、つくしには優しいんだよね?」
 「…たぶん」
 「たぶん?冷たいの?」
 「いやぁ、そんなこともない…と思います、けど」
 ハッキリと滋の言葉に同意できないのは、彼が自分に優しいと思えるようになったのは本当につい最近のことだからだ。
 それまではどんなに優しげに扱われても、別に虐待されたわけではなくっても、それでも心のどこかで彼のおもちゃであり、契約の愛人である自分を卑下する前提がそこにあった。
 …これは愛情じゃない。
 …愛されているわけではない。
 そんな気持ちがどんな優しささえもそう感じさせない刃となって、つくしを傷つけ苦しめてきたのだから。
 「えっと、最初片思いだったし」
 「…ああ、そうなんだ。やっぱり、あたしに対する司みたいにそっけなかった?」
 滋に対して司がどのような態度をとっているのかは、先日見かけた時の印象しかなかったが、それでも高校時代片思いしていた時の類はつくしに対して冷たかったのは確かで。
 「そうだね。話しかけても無視されることもあったし…」
 「へえ?」
 「あの頃、類にはずっと好きな人がいて、その人に夢中で、あたしのことなんて小煩いコバエくらいにしか思っていなかったのかも」
 我ながら卑屈なことだと思うが、思い起こしてみればそんな例えさえ妥当な気がした。
 彼女が話しかけても不機嫌に睨みつけられる方がまだマシな時期もあったし、無視されることも珍しくなかったのだ。
 それが少しづつ彼女に馴染んで…けれどそれでも当時の類にとってつくしは彼にとっての何者でもなかったに違いない。 
 勝手に懐いて、勝手に寄ってきて、彼の静だけを想い、微睡んでいた静寂の世界を騒がしくする煩い女。
 「類はずっと好きだった人に一途だったから、他の女の子のことはまったく眼中なかったかな」
 「そうなんだ。なんか、司と似てるね」
 「え?」
 意外な言葉に、つくしが目を瞬かせ滋を見つめる。
 「だってさ、司も忠実な番犬みたいなところあるじゃない?見た目は思いっきり、黒豹とか人に慣れない猫科の肉食獣みたいな男だけどさ」
 「そうかな」
 そうかもしれない。
 「犬はさ、たとえ飼い主に捨てられても、一度好きになった人のことは生涯忘れられないんだよね。…憎んだり恨んだりすることはあっても、嫌いにはなれなくって、ずっとその人のことを想い続ける生き物なんだって」





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