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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第七章 裏切①

昏い夜を抜けて310

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 「それってどういう意味?」
 「どうってそのまんま」
 もはや、つくしは事態を見守るしかしようがなかった。
 総二郎の言うことは別段嘘なわけではないし、言われて困ることではないのだ。
 けれど…。
 …西門さん、どうして。
 空転した思考が先程から同じ言葉ばかりを脳裏で繰り返す。
 「…ハア、いきなりの展開」
 呆れたようなのは桜子だ。
 確信ではなかったが、優紀の反応も怖くて、つくしは隣にいる彼女を振り返れない。
 「お前にアタックとか言われてもね。俺でさえ、へえ?としか思わないのに、当の牧野がイイ線ってお前の勘違いなんじゃない?」
 「…おい」
 「ぶっ」
 類の冷静な指摘に総二郎が顔を引きつらせ、あきらが噴き出す。
 もちろん当事者のつくし的にはなんとも言いようがなくって、落ち着かず話の流れを見守るしかなかった。
 「…あきらん時には牽制しまくりで、俺にはその態度ってめちゃくちゃムカつくんだけど、とにかく言っておいたからな」
 「牧野?」
 「えっ!?」
 憮然と宣言する総二郎の言葉を受けた類に、突然フられて、つくしが飛び上がる。
 「総二郎はこう言ってるけど?あんたはどうなの?総二郎に揺れてるの?」
 「……」
 「俺的には、誰と誰が付き合ってるとか、口説いてるとか当事者が知っていればいいことで、わざわざ皆に宣言する必要性があるとは思わないけど。総二郎が俺に向かって?宣戦布告してきたなら、俺は俺で改めてここで言って置いたほうがいい?あんたにはもう言っておいたことだけどね」 
 「類っ」
 「総二郎だろうと、あきらだろうと…そして司だろうと。俺はあんたを誰にも渡さない。…あんたの意思が固まるまであんたの返事は待つつもりだけど、誰が相手でも俺からあんたを奪おうとするなら、戦うし、排除するよ」





 類のひんやりとして、だが厳然とした言葉に、一同が黙り込み、誰も口を開くことのできない沈黙がその場を支配した。
 だが、視線を俯けたつくしは皆の注視を受け、その視線が痛いくらい…物理的な痛みさえ感じられそうな緊張感に耐えられず、思わず立ち上がる。
 「…悪いけど、あたし帰る」
 「先輩」
 皆に小さく頭を下げ、視線を移した先。
 蔑むようではなくただ心配そうに見つめ返してくる優紀の視線さえ痛くて、つくしは優紀にも無言で頭を下げ、ハンドバックを手に取り出口へと小走りに歩き出す。
 「…不意打ちのさらし者は酷いですよ、西門さん」
 ため息一つつき、桜子も立ち上がってつくしを追いかける。
 「あの、すいません。あたしも」
 桜子に続いて優紀も立ち上がってつくしの後を追い、つくしが1杯のアルコールを口にする暇もなく、女性陣は去って行ってしまった。
 後に残るのは、気まずい沈黙だけだったが、誰も彼も心臓に毛が生えた連中ばかりだったので、それで居た堪れないということはない。
 けれど、結局、この中では気遣いの方のあきらが、仕方なく空になっていたグラスに酒を注ぎ、それぞれに渡す。
 「…仕方ねぇな。ほれ、飲めよ。俺の送別会だ」
 「自分で言うか」
 「俺、寝てていい?」
 「お前らの自分勝手のツケをいつも払されても懲りない自分が、ホント恨めしいよ」





 駆け出してしまいそうなつくしを捕まえ、桜子が停めたタクシーの中。
 身勝手な男たちを残してきたものの、彼女たちの間にも気まずい沈黙が流れていた。
 いや、気まずいのも居た堪れないのもつくしだけだったか。
 つくしを挟んで、桜子が優紀へと微笑みかけた。
 「優紀さん、明日お休みでしたよね?」
 「うん。先週、休日出勤した代休だから」
 関西の就職先を辞め、東京に戻ってきていた優紀は、すでに中堅クラスの会社にOLとして再就職し、それなりに安定した生活をスタートしているらしかった。
 「…今日は、優紀、桜子と来たの?」
 「そう、桜子さんが今日みんなで飲み会をするからって誘ってくれて」
 優紀の後を引き取った桜子が肩を竦めた。
 「前にも言ってあったじゃないですか。私は薄情な先輩とは違って、優紀さんとも何かと連絡は絶やしたことがなかったんですよ」
 「…悪かったわよ」
 失踪中のことを言われると、今だに肩身が狭い。
 司のことがあったからといって、勝手に友人たちとの連絡を絶ったのはつくしの方だったのだ。
 親友であった優紀にも自分ゆえに大きな迷惑をかけ、なんだかんだと自分に言い訳しながら、何年間も不義理をしたままだった。
 「しかし、なにか目論見があるとは思ってましたが、まさかいきなり出会い頭?で西門さんがああ出てくるとは」
 「…あんたまさか、西門さんと何か?」
 「ありませんよ。あんなの西門さんの勝手な示威行為じゃないですか。…まあ、今参戦しないと割り込めなくなるという焦りがあるのはわかりますけどね」
 「…なによ、それ?」
 「後で話しますよ。それはそうと、優紀さん、すいませんでした」
 「ええ?」
 「単なる楽しい会合ってわけじゃないとは思ってましたが…」
 「桜子が優紀を誘ったの?」
 自分も仲間たちとは1年前からの交流再開だったが、これまで総二郎も優紀を連れてこようとはしなかったし、桜子もご同様だったのだ。
 「ええ、西門さんがね。私は前々から先輩に優紀さんを引き合わせて、じっくりとお話して欲しかったんですが、いろいろ微妙でいらしただろうし」
 「……」
 「……」
 複雑な思いに、優紀と顔を合わせる。
 再会した時にさまざまなことを語り合ったはずだった。
 けれど、まだどこか互いに話し尽くしていない気がするのは、どうしてなのか。
 「お茶の手習いのおりに何度か顔を合わせてらっしゃって、和解…と言っていいのかわかりませんが、お話もされていると西門さんからも聞いていましたしね。いきなり女子会だなんだと少人数で会うより、1クッション置いてお酒を飲んで話すほうがいいだろうとおっしゃって。まあ、美作さんがいらっしゃるのは知ってましたけど、まさか花沢さんまでお誘いしてたとはね」
 何かと気まずくなるような曰くがあろうと、確かにあきらならば場を解きほぐす努力をしてくれこそすれ、そこは妙な雰囲気にならないようにむしろ気遣ってくれただろう。
 「ま、出だしであれじゃ、どんなメンバーだって同じでしょうけど」
 「西門さん、あんなこと言い出すなんて。どうして…」 
 口説かれているのは事実だったし、それを隠さなくてはいけないようなメンツではなかった。
 けれど…。
 「さっき言いましたよね?西門さんが焦る気持ちもわかると」
 「え?」 
 「…道明寺さんが、いよいよ帰ってらっしゃるんですよ」





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