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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第七章 裏切①

昏い夜を抜けて309

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 「優紀…類」
 思わぬ面々の登場に、つくしが戸惑って一歩後ろへと下がる。
 けれど腰を支えていた総二郎の胸にあたって、それ以上下がれなかった。
 「とりあえず、座ろうぜ」
 「先輩、こちらへ」
 桜子の差し出す手に導かれて、総二郎から離れてほホールへと入ると、
 「…こんにちは、西門さん」
 「うん、ごめんね、待たせちゃって」
 挨拶を交わし合う総二郎と優紀、二人の横で、あくびを噛み殺し、類が伏せていたソファの背もたれから体を起こした。
 「…遅かったね、牧野。俺よりだいぶ早く社を出てたから、とっくに先に来てると思ってた」
 感情の見えにくい透明な目に見つめられて、疚しいことなどなにもない…そもそも疚しいなどと感じる筋合いなどないはずなのに、どこか居た堪れない。
 類の方も別に何を責めたてているわけではないというのに、つくしだけが気まずさを感じて落ち着かなかった。
 「あ…うん。まさか、類もいるとは思わなかった」
 「…呼ばれたからね。シカトしても良かったけど、あんたも来るって聞いてたし」
 「類」
 「相変わらず、ひでぇな、お前」
 総二郎が苦笑する。
 「これって、西門さんが主催したの?」
 明日集まることになっていたのではなかっただろうか。
 たしかその折には断りをいれたはずなのに、この騙し討ちのような会合の意図は一体?
 しかも、このメンツに今会うのは、つくし的にはかなり戸惑いが大きく、どう場を持ったらいいのかわからなかった。
 「…先輩はこっち」
 桜子に指し示されたのは、類が座っていたU字のソファの対面側、優紀の隣で、つくしを座らせたその横に桜子自身も彼女を挟み込むように自分も腰を下ろす。
 「女子は女子で女同士の話をしたいですものね」
 「…女子って、もうその形容詞は図うずうしいんじゃね?」
 ボソリと呟いた総二郎へと、女性陣全員からの敵視の集中砲火が集まった。
 彼の言うことにも一理あったが、永遠の乙女たちにはとんでもない暴言だ。
 「「「西門さん!!」」」
 「…ぷ、桜子まで目くじら立てるなよ」
 機嫌よく笑う総二郎は確信犯で、プリプリと怒っている女性陣との緩衝地帯に座っているあきらがやれやれと首を振る。
 「お付き合いされている女性たちには口当たりの良いことしかおっしゃらないくせに、私たちにはひどいんですから!」
 「ホントだよね!どんだけ猫飼被ってるのかつーの」
 日頃その毒舌の被害の主をこうむっているつくしが、うんうん、と大きく同意する。
 「辛辣な俺と甘々な俺とのギャップが俺の魅力をさらに高めるんだよ」
 「単純に好きな女の前だとはしゃいじゃって、憎まれ口叩きたくなるわけじゃなくって?」
 「「「「………」」」」
 平坦に割り行った類の皮肉げな口調に、全員の視線が集中する。
 いや、バチッとあたってしまった視線に耐えられず、視線を反らしてしまったつくしは例外だったが。
 「主催者は総二郎。知らないうちに帰国していたあきらと結託してなんかいろいろやってたのかな?」
 「おいおい、結託しては人聞き悪ぃな。俺は短期の出張でこっちきてただけだし、たまたま総二郎と連絡とってたら、無理矢理に飲みに連れてこられただけ」
 類の冷たい視線を受けてあきらが苦笑する。
 他の人間だった凍りついてしまいそうな冷たさだったが、さすがに幼馴染み、平然と受け流していた。
 「話したいことがあったからな。みんな忙しいんだ。一々個別に口効くのも時間ないだろ?ここのところ、なんだかんだとみんなで集まってなかったしな」
 なんだかんだ…というのは、確かに皆の多忙ゆえだったが、そのうちの半分以上はつくしの存在ゆえの心理的事情も関係している。
 正直、総二郎が何を言い出すかとつくしは気が気ではなかった。
 「て、ことであきらは明後日にはイギリスに帰っちまうし、今日あたりでどうだって招集かけてたってわけ」
 「…て、あんた、あたしに明日の都合を聞いてなかったっけ?」
 「このメンツで集まろうって言ったら、お前、どうせなんだかんだ言い訳つけて逃げ出すだろ?下手すっと、行方晦ましかねないと思ったから、ブラフかました」
 「……あのねぇ」
 「ぷっ、ありえそうですねぇ」
 「ありえそう」
 「ありえそうだな」
 「……」
 面々が、大いに頷く。
 それにバツが悪く唇を尖らせ、つくしが大きく息を吐いて怒りを逃す。
 「案の定、俺と飯食いに行くっていう誘いだけでもケンモホロロに断りやがっただろ?」
 「……」
 …飯食いに行くって、それだけじゃなかったじゃん。
 言ってやりたかったが、口ごもりつくしが言葉を途切らせた。
 だが…。
 「デートくらいいいじゃん。別にホテルに連れ込まなかっただろ?」

 「ちょっと!」
 類と…優紀を気にして、話を打ち切ろうとしたつくしの意図に反して、いやだからこそか、総二郎があえてハッキリ口にだして、つくしがギョッと目を剥く。
 「ふぅん、デートだったんだ」
 類の声音に感情はなかった。
 むしろいつものように面白そうな飄々としたものがなくって、つくしが胸をざわめかせる。
 「俺もさ、ここらでちゃんと宣戦布告?しておかないと、どうも牧野の根性が座らない気がすっからさ」
 「な、何言い出すのよ」
 焦っているのはつくしだけで、当の総二郎はもちろん、類、桜子、あきら…見る勇気はなかったが、優紀にも驚くような気配がない。
 「今、俺、牧野にアタック中。…俺的には、けっこうイイ線いってんじゃねぇかって、手応え感じてるんだけど?」
 「西門さんッ!?」





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