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「アネモネ…全171話完+α」
第四章 Glass Heart

アネモネ157

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 「疲れた?優紀」
 「総二郎さんこそ、昨日に引き続いてのお茶会で、お疲れなんじゃないですか?」
 吹き抜けたそよ風に後れ毛が一筋攫われて、優紀の唇に貼り付いたのを微笑んで、総二郎がとってやる。
 ただそれだけで、頬を染めて俯いてしまう優紀のウブな仕草が愛しい。
 けれど、この後まだ、実家での報告会やら何やらまだまだやることはたっぷりと残っていて、彼女とのつかの間の時間を楽しむ暇もありはしないのだ。
 …しょうがねぇな。
 それでも、彼女が仕事を辞め、総二郎の家の都合にできるだけ合わせるようにしてくれているからこそ、こうして少ない時間でも会うことが叶っているのだとわかっている。
 「はあ、ごめんな、こんな天気のいい日にどこにも連れて行ってやれなくって」
 それどころか、デートなどいつ以来していないのか。
 こんな窮屈な家の跡取りである自分と付き合っていなければ、少なくても週末のデートくらいは楽しめただろうにと、申し訳ない気持ちになる。
 「…そんな、何言ってるんですか。あたしは、総二郎さんとこうして、いられるだけで幸せなんです」
 「優紀」
 「だから、気にしないでください。それより車…あ」
 言いかけた唇が途中で止まって、目が見開かれる。
 自分の方を向いてはいたが、微妙にズレた視線の先に不審を覚えて、総二郎も優紀の視線の先へと顔を向けた。
 「…なんだよ、司と牧野じゃねぇか」
 仕事にしてはカジュアルな二人の格好に、どうやらプライベートなのだと悟る。
 もっとも、少し離れたところにボディガードのスーツ姿は見え隠れしていた。
 完全に二人っきりというわけではないが、デートなのは明らかだ。
 「あいつら、やっぱ、ヨリ戻してんじゃん」
 愛人だの、遊びだなんだと強気な発言をしていたが、蕩けるような、ここ数年…いや、つくしの記憶を無くしてからだから、十数年間見ることのなかった司の優しい表情に、総二郎が驚く。
 …やっぱ、牧野なんだな。
 「確か、司の奴、本来の予定より一ヶ月、日本滞在を延長していたが…」
 つくしはそろそろ、司の警護の任務を解かれるはずだ。
 司ならば圧力をかけてその予定を変更させることも可能なはずだが。
 「つくし、幸せそう」
 「え?」
 「道明寺さんがあんなことになって、ずっとつくし、いつもどこか苦しそうで。あんなに晴れ晴れとした顔、すごい久しぶり」
 総二郎と優紀が見守る先、つくしの…高校生の時のような屈託のない笑顔が広がっていた。





 公園を特に目的もなく練り歩き、さすがに口には出さないが、司の様子が目に見えて怠そうになってきた。
 何度か帰るかと打診したが、返って意地になってしまって、取り付く島もない。
 …ホント、バカ。
 そうは思うが、こういう気質は司に限らず、女にカッコつけたがる男にありがちなプライドだったから、あまりにあからさまに馬鹿にすることもできなかった。
 「ね、あたしもソロソロ疲れたし、ホテルに戻らない?」
 本来なら、公園から波止場まで歩いて、海を見ようかと考えていたのを思い直した。
 「そ、そうか。お前が疲れたなら仕方ねぇな」
 …可愛い奴。
 あからさまに顔が明るくなっていたが、いかにもつくしが疲れたから…を強調して意地を張る男を馬鹿だと思いつつも、可愛くなってくる。
 普段傲慢俺様男なだけによけいにそう思うのだろうが、昔からこの男はつくしにただイイところを見せようというだけでなく、彼女の為に、そのためだけの痩せ我慢もたくさんしてきた。
 今の彼にはそんなつもりはなかっただろうけれど、それでも、たぶん彼の痩せ我慢がなければもうこんな時間は持てなかったのだ。
 …ありがとう、道明寺。
 彼女の心の声が聞こえたのか、怪訝に見下ろしてくる男に微笑みかけ、今度はハッキリ口に出して礼を言う。
 「ありがとう」
 「…なんだよ、急に」
 「うん、別に。ただ、今日は楽しかったなって」
 「ホントかよ。こんなことで喜ぶなんて、お前、ホント、変な女」
 目を瞬かせ、苦笑する。
 「今、車呼ぶから待ってろ」 
 「うん」
 言われて、通行人の邪魔にならないように壁際による。
 通りかかった男にぶつかられそうになって、電話をかけていた司が自然な仕草で彼女の体を自分に引き寄せよけさせる。
 頬に触れた司の温もりが温かい。
 妙にセンチメンタルで乙女チックな自分が気恥ずかしくて、すぐにその大きな手を逃れて、壁横のショーウィンドウを覗き込む。
 電気製品の大型店舗の対面側はペットショップのようで、高校生のカップルだろうか、背の高い男の子と小柄な女の子達が、ウィンドウの犬を指差し笑い合っているのが映っていて、つい見入ってしまった。
 「…ここだと、デカイ車は入れないから、あっちの角まででるぞ」
 「あ、うん」
 電話を終えた司の腕に肩を抱かれて、われに帰った。
 ちょうど電気屋のウィンドウに並べられたテレビが、中継していた野球でのホームランを称え、試合の様子を放映していた。





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