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「アネモネ…全171話完+α」
第三章 Innocent②

アネモネ145

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 ズガアアアアアァァァン。
 ビシッ。
 「……っ」
 どこか近くに銃弾が着弾した気配に、つくしは身を竦ませる。
 だが、どのみち、どの程度相手に視認されているのかを確認するすべはない。
 多勢に無勢。
 丸腰の女が敵うはずもなく、元々が無謀なのだ。
 狙撃される危険を顧みず、懸命にただ生還だけを信じて、前へ前へと前進する。
 司とともに隠れていた床下から這い出し、つくしが人里を目指して歩き出してどれくらいの時間が経ったのか。
 日の昇る感覚で測るしかいものの、おそらくは1時間~数時間程度。
 夜が明け、指し始めた陽の光に照らされ、木々の間からごく間近に見えた街の灯は、ごく近くに見えたというのに、未だにつくしは森の中を彷徨い続けていた。
 おそらく、当初の予測どおり、それほど山深いところではなかった。
 だが慣れない山道に迷ってしまい、すぐに人里で助けを求められると思っていたアテが完全に外れてしまっている。
 夜陰に乗じて…と思ってたというのに、すでにその目論見は外れてしまった。
 彼女は都会生まれの都会育ちで、明かりがない人里離れた山の夜道というものを舐めていたのだろう。
 真の闇。
 足元さえも見えない夜の闇に行く手を阻まれ、今度は明け始めた日の光が、追っ手の目を集めて四面楚歌だ。
 …どうしよう。
 刻一刻と迫る追っ手の気配が、ついに現実となってすぐ間近まで差し迫っていた。
 “いたぞッ!!”
 崖の上、こちらを指さす追っ手の男たちの姿に、身を翻した途端、いきなり警告もなく発泡される。
 ガアアアァァァン、ガァン、ガァン、ビシッ、ビッ、ビッ
 「きゃっ!!?」
 立て続けに銃弾を撃ち込まれ、飛び退いた先、飛び出していた枝に足を引っ掛け転倒してしまった。
 どうやら、一度引き金を引いてしまったことが箍を外してしまうきかっけになってしまったようで、2発、3発と、立て続けに撃ち込まれる銃の狙いには明確な殺意がこもってつくしの身を竦ませる。
 …もう、銃声を聞かれる心配もする気もないってわけね。
 殺される。
 けれど、このままここで誰にも知られずに死ぬわけにはいかない。
 …行かなくっちゃ。
 今にもしゃがみこんでしまいそうな恐怖を堪えて立ち上がろうとして、右足を軸に立ち上がろうとした途端、走ったズキンとした痛みに再び顔を顰めてしゃがみ込む。
 足を挫いてしまった。
 今にも背後の木々の間から、男たちが飛び出してきそうな恐怖に、喉から心臓が飛び出てきそうな恐怖に苛まれているというのに立ち上がれない。
 どうせ死ぬなら、できるだけ銃を撃たせて人の耳目を集めなければならないのに、このままで唯々諾々と死を待つことしかできないかもしれない。
 恐怖と焦燥と、不安に冷や汗が滲んで、周囲が歪む。
 ガサガサガサッ。
 危機が迫る。
 逃げなければ。
 だが、逃げ込もうと前進した先。
 「こっちだ!!」
 「急げッ」
 遠く前方からも大勢の人の気配と怒声が聞こえて立ち竦む。
 前門の虎、後門の狼。
 どちらに逃げても、逃げ切れないのなら。
 ギョロギョロと視線を彷徨わせた彼女の目に、すっかり明るくなり、開けた全景が映って、一つの可能性が脳裏を過ぎる。
 …ここから、飛び降りたら。
 急な斜面はほとんど崖だった。
 …でも、木もあるし、途中張り出してる踊り場もある。
 わずかな台地に足を踏み下ろす確率など、ほんのわずかでしかないことなど誰にでもわかるはずなのに
 ガサッ、バサッ、ジャッ。
 “逃げられないぞッ。手間をたてさせやがって!!このジン(※この場合悪霊?)に取り憑かれた疫病神め!!”
 “こっちだ、いたぞ!!”
 男が構えた銃口の黒鈍色の輝きに目が眩む。
 …道明寺ッ。
 無意識に脳裏に思い浮かんだのは、司の名前だった。
 「…つくしッ!!」
 ガアアアァァンッ。
 ビシッ。
 足元の石が弾けて砕け散った。
 「バカッ!!体を低くしろッ。当たるだろうがッ」
 指示の通りに体を屈めながら、顔を振り上げその目に映った顔に驚愕する。
 
 「…な、なんで」
 「チッ」
 司の足元、2mほど崖の下の地面を這うつくしとの距離を目測して、自分の体調と相談する。
 「…ありえねぇ、さすがの俺様も、折れた肋骨の骨が肺を突き破るな」
 だが、呑気に回り道をしている暇などありはしない。
 司が身を躍らせる。
 「だ、ダメぇぇッ!!!」






 ドッ。
 ズッシャッ!!
 突き飛ばされ、覆いかぶさった大きな体に地面に叩きつけられ、衝撃に息をつまらせ、つくしの意識が一瞬、遠くなる。
 ガアアアアアァァァァン、ガァン、ガァンッ。
 ズキューーーン。
 入り交じる喧騒。
 銃声と硝煙の臭い。






 トクン、トクン、トクン。
 静かだ。
 …あたし、死んじゃったの?
 彼女の体を抱きしめる大きな胸の感触。
 逞しく力強い腕が彼女を包み込んでる。
 温かな温もりと、彼の心臓の音。
 他には何一つ、何もかもが遠い。
 それでもつくしは、今、なんの恐怖も感じていなかった。
 たとえ今、ここが死の世界で、このまま目覚めることがないのだとしても。
 彼が抱きしめていてくれたのだから、何も怖くない。





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ちょっと家から離れた地区の河川氾濫警報がこの時間に鳴ってびっくり目が覚めてこちらを覗くとここも大ピーンチ( ゚д゚)つくしちゃーん司ーー!お茶子さんの地域は台風の影響は大丈夫ですか?

つくしちゃんーーー!司イケメンすぎるけど、しんじゃうよーーー!と叫びたい。笑
明日も出勤なのに次の更新が楽しみで眠れないです、、笑

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