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「アネモネ…全171話完+α」
第三章 Innocent②

アネモネ142

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 乳房の痛みと来るだろう衝撃と恐怖の予測に、つくしがギュッと目を瞑った瞬間…。
 シュッ。 
 “ぐはッ!!”
 “…あ?どうし…ギャッ!!”
 ドガッ、ガスッ。
 打撃音と共に、手足を抑えていた男たちの体が押しのけられる。
 「…おい、しっかりしろ」
 抑えた声に抱き上げられ、頬をぺちぺちと叩かれる。
 ガチガチと鳴る歯が止まらず、声が出ない。
 「目を開けろ。平気だから」
 司の声に、そっと目を開く。
 「…どう、みょうじ」
 「ああ、大丈夫か?」
 「……うっ」
 抱きしめられ、押し付けられた胸の鼓動の音が堪えていた涙を誘った。
 泣き声は出さない。
 けれど嗚咽が止められない。
 覚悟は決めていた。
 それなのに、司のものではない他の男のオスの気配に心底怯えた。
 頭を撫で、背を撫で、だが、すぐに胸から引き剥がされる。
 「…慰めててやりてぇけど、いまは時間がない」
 そうだ。
 呑気に打ちしがれている場合ではなかった。
 「ご、ごめ、大丈…夫」
 手の甲で乱暴に涙を拭う。
 「バカ、目が傷つくだろ。乱暴にすんな」
 大きな手が彼女の手を抑えて、頬に優しく唇を押し当てられる。
 「……お前、警察で拘束術習ってんよな」
 「あ…うん」
 問われて顔を上げると、真剣な司の顔に出くわす。
 「…わりぃけど、奴らの着てるもん剥いて、拘束してくれ」
 抱いていた彼女の体を離すと、胸を抑えて司が床に片手を置き蹲る。
 「ど、道明寺」
 「…俺のことはかまうな。さっさとしろ」
 「う、うん」
 チラチラと司の様子を伺いながら、手早く男たちを縛り上げてゆく。
 いくら訓練で身につけているとは言え、自分より遥かに体格が良く意識のない大の男を動かすのは難儀した。
 「…フゥ、できたか?」
 何気ない風を装っているが、相当苦痛なのだろう。
 額から流れ落ちる脂汗が物語っていた。
 「大丈夫なの?」
 言わずもがなだとは思うが言わずにいられない。
 顔を顰めつつも、ニヤリと笑った顔には余裕が浮かぶ。
 「…大丈夫じゃねぇが、まあ、いまは仕方ねぇ。体力温存するから、お前働けよ」
 「わかった」
 素直に頷くつくしに微笑みかける。
 「気持ちわりぃぐらい素直だな」
 憎まれ口にも反応しないぐらいに、つくしの顔が心配げに曇っている。
 揺れる目が、不安そうな顔が…。
 …チッ。
 こんな時だというのに、再び抱きしめて、俺が守ってやると嘯きたくなってくる。
 だが、いまはつくし自身にも自分の身は守らせなければならない。
 それができる女のはずなのだ。
 ただ守られているだけの女じゃない。
 「とりあえず、倉庫を出るぞ。奴らに気づかれる前に、ここを出なきゃならない」





 肩に腕を回させ、支える体が燃えるように熱い。
 昨夜から元々熱が高いのだ、相当な苦痛を耐えているのだろう。
 よくもこの体で、暴れることができたものだと、感心すると同時に、その時からよけいに悪くなった顔色に心配が募る。
 おそらく本人が言うように骨折はしていなかったのもしれない。
 けれど、ヒビ程度は入っていたに違いない。
 それで脆くなった骨が、激しい身動きで骨折したのではないか?
 …その骨が肺とかに突き刺さってたら。
 恐ろしい推測に背筋に冷や汗が流れる。
 だというのに、今は休ませてやれない。
 始めてしまったからには、突き進むしかできないのだ。
 暗闇に乗じて、物陰を歩き、人の気配がするたびにビクリと壁に貼り付く。
 “…移動は明日?今日中の方がいいんじゃないのか?”
 “船が手に入らない。頼んであった組織の人間が検問に引っかかってるようで、今日到着するのは無理のようだ”
 “検問?洋上でか?”
 “いや、人質を連れて陸路で一旦…”
 男たちが通り過ぎたすぐ後、つくしが司をサポートして物陰から身を乗り出す。
 顔と顔を見合わせて、足を進める。
 「…間一髪」
 「え?」
 「いや、後で」
 「…ねえ、本気なの?天井裏に隠れるなんて」
 「例の日本人ぽいやつ、一人なんだろ?」
 平屋とはいえ、かなりの広い家だ。
 各々散っていたのか、メインは居室で寝起きしているのだろう。
 キッチンの奥のスペース、いわゆる食堂部分は板の間だったので、むしろ外国人には違和感もなかっただろうが、狭いスペースなので複数人数はキツかったのだろう、一人部屋として使用されているように見えた。
 「でも、たぶん、だよ?」
 「他の連中に一目置かれるような地位にいるやつは、雑魚寝なんてしないさ。一人くらいなら、今の俺の状態でも隙を見てなんとか倒せるさ」
 どういう根拠なのか、あっさり断言する司に反論する論拠もない。
 だがしかし…。
 …天井裏なんかにそう簡単に隠れていられるものなのかな。
 身動きしないなど、現実的にできそうもない。
 それも短時間ならともかく、救出はいつになるのかわからないのだ。
 司などは、自分たちが脱出したと思われれば、それどころではないので、ほとんど屋内に人は残らないだろうし、大騒ぎになるから物音など聞こえても気がつけれるはずがないと楽観的だった。
 …登る時にだって見つかるかも知れないじゃない。
 第一、司はこの怪我の状態で、本当に本格的に訓練した軍人を倒せると思っているのか?
 女色に目が眩み、油断しまくっていた二人の若い男たちとは事情が異なるのだ。
 よしんば、不在だったとしても、発見されるリスクは高い。
 また、そんな高低差がある場所へ昇るような過激な動作をすることができるのかさえ疑わしかった。
 かといって、床の下に潜るというのも現実的ではない。
 …見つからないで畳を剥がすなんて無理だよね。
 そして、怪我人を抱えてどこまで逃げればいいのか山道を逃げ惑うのはさらに無謀の極み。
 どちらにせよ、四面楚歌なのだ。
 何が最善なのか、最悪なのか、手探りでも司の言うとおり行動するしかないのかもしれない。
 「…迷ってる暇はない。奴らにノした奴らが見つかれば、すぐに大騒ぎになる」
 「わかってる。…ハァ、まったくこんな無謀な作戦ありえな…い」
 つくしの目が一点をとらえた。
 「あ…」





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脱出がんばって~~!!

司 頑張って! つくしも頑張って!
屋根裏部屋に隠れて みつからないようにね!

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