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「アネモネ…全171話完+α」
第三章 Innocent②

アネモネ131

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 次の日、前日…いや、もう明け方近くまでだったから、今朝までの荒淫の影響で、つくしが目覚めたのは昼近く。
 いくら厳戒態勢が解除されたとはいえ、司のSPとして派遣された身としては、とんでもないていたらく。
 さすがに司よりは早く目を覚ましたが、窓から差し込む高く登る陽の光が目を射って頭を抱えた…。
 「…あぁッ、これまではこんなことはなかったのにぃ~」
 とりあえず、今日一日、厳密なスケジュールというものがない油断が大きかったのだとは思う。
 …それにしても。
 「ちょっと…」
 ガッツリ抱き込まれ、足まで絡められていては身動き取れない。
 下から見上げる美形の寝顔はなかなかに鑑賞に堪えるものだったが、毎日こうして顔を突き合わせていては、一々うっとりもしていられない。
 …中身が中身だしね。
 「起きてよ」
 とりあえずは手を伸ばして、ソフトに頬をペチペチと叩く。
 綺麗な顔をしていても、やはり人間の男性。
 それなりにヒゲも生えるんだ~と、今更ながらに当たり前の感想を抱く。
 「……ん、うるせぇな」
 「起きなくていいの?もう11時近くだよ?」
 「いいんだよ、気が向いた時間に義理果たせば」
 わけのわからない言いようだが、一応仕事は真面目な男なので納得する。
 「そ。じゃあ、あんたは寝ててもいいから、手とか足どけてよ」
 「あ?」
 「あ、じゃないわよ。あんたのデカイ手足で押さえ込まれてたら起きれないでしょ?」
 が…。
 「いいよ、お前も寝てろ」
 「は?」
 「……zzzzz」
 「じゃないわよ、ちょっと!!」 
 せっかく起こしたのに、そのまま寝込まれてしまう勢いだ。
 朝っぱら?から無駄な体力を使っての攻防を余儀なくされ、なんとかひーひー、言いながら長い手足の拘束から逃れた。
 ほうほうの体でシャワーを浴びていれば、いつもの展開。
 人が起こそうとした時には抵抗しまくってなかなか起きなかったくせに、今度は寝てていいと置いてくれば、起きてきて。
 「…他にもシャワールームあるでしょ?」
 「いいじゃん、一緒に入ればお前の好きな節約?一石二鳥か?時間も短縮できるし、いいとこずくめじゃねぇか」
 嬉しそうに洗ってくれるのはけっこうだが、黙っていればすぐにでもセクシャルな動きへと移行されそうなので、気を抜けずにかえって疲れる。
 それでも…あと数日。
 こうしていられるのもわずかなことだと思えば。
 本来のつくしの性分では許容できないことでも、許容できた。
 「ほれ、ボウっとしてないで、お前も俺を洗えよ」
 「…はいはい。あんた何げにこういうの好きよね?」
 「別にそうでもねぇけど、お前を洗うのはけっこう楽しいかもな」
 鼻歌交じりに言われてしまえば、仕方がない。
 洗ってもらったお返しにボディスポンジを受け取り、広い背中や胸元を洗ってやる。
 「…あとは自分でやりなさいよ」
 「なんでだよ、洗えよ。お前のはビラビラだって洗ってや…いってぇっ!!」

 バチンッ!!と懲りない男の背中を叩いてやり、悶絶している司の手に無理やりスポンジをねじ込む。
 「頭は洗ってやるから、さっさとやれッ!!」
 「…ちっ、いつまでたってもカマトトぶりやがって」
 ブツブツ言いながらも、指示に従う男にはわからないように、くくく、と小さく笑う。
 …ホント、ガキなんだから。
 普段の俺様傲慢男からはとても想像できない、こんな可愛いところをいままでどれくらいの女たちが知ってきたのだろうかと、胸がチクリと痛む。
 けれど、それもバカバカしい嫉妬だ。
 この男は誰のものにもならない。
 いや、近いうちに彼を愛することを許される唯一無二の権利を持つ婚約者のものになるのだろう。
 たとえ今は、愛情がない結婚だと言ってはいても、体の関係が心に影響を及ぼすこともあることを今のつくしにならよくわかっていた。
 願わくば…本当にそう思う。
 願わくば、司が限られた自由の中でも、それなりの幸せを見つけてくれるように。
 …気がつくことさえできれば、あんたならきっと幸せになれるよ。
 それこそ、彼がずっと望んで手に入れられなかったと思い込んでいた母親の愛情さえ、、気がつかなかっただけで本当はずっとすぐ傍にあったのだから。
 「…なんだよ?」
 「なにが?」
 さっきまで上機嫌だったのに、苦虫を潰したような顔で見下ろしてくる司に首を傾げる。
 「聞いてんのは俺だろ?なんで、そんな顔するんだ?」 
 「…ん、お腹すいたなとか思ってさ」
 「それこそガキみたいなのは、お前の方だろうよ、まったく。風呂でたら、美味いもん食わしてやるから、もう少し待て」
 しょうがなさそうな顔をしながら、微笑んでくれる司につくしも微笑み返す。
 「うん、期待してます。…じゃ、ほら、髪も洗っちゃうから、そこに座ってよ」






 司に連れられて美味しいランチを食べ、昨日と同様、彼の車で着いたのはボートや小型クルーザーが連なって停泊する波止場。
 昨日と同様、すでに人が待っていて。
 「お待ちしていました」
 セリフまで同じで、つくしは目を瞬かせて首を傾げて、じっと成り行きを見守る。
 「…ふぅん、悪くないじゃん」
 「代表は小型船舶の操縦免許もお持ちとのことでしたので、こちらからは操縦士はご用意しておりませんが」
 「ああ、いい。時間も時間だし、適当なところを周遊して戻ってくるつもりだし。自動操縦システムもついてんだろ?」
 「はい、最新鋭の設備は備えております」
 どうやら今日の午後は、優雅な船での遊覧となるようだ。
 …すごい、こいつ、船まで操縦できるんだ。
 なんだかんだ言って、司はオールマイティになんでもこなす。
 学生時代、バカだバカだ、とF3やつくしなどはコキ落としていたが、実際は財閥の後継者として十分以上の才覚を有し、その他大抵のものをこなすことができるハイスペックな男なのだ。
 「豊島リゾートへは…」
 「まだオープンしてねぇんだろ?さすがにこの日程で、持ち主不在の視察も気兼ねあるしな。好意に甘えてクルーザーは借りて遊ばせてもらうさ。近くにあるっていう無人島も、豊島家所有なんだろ?」
 「はい。ただ…いわゆる幻の島、ですので」
 そこで男が腕時計を覗き込み、確認する。
 「…16時35分が本日の満潮となりますので、それまでには離島していただくことになるとは思いますが」
 キョトンとしているつくしの顔を見て、
 「なんだよ?」
 「え?あ…いや、幻の島ってなんなのかな、って」
 あえて口出しするのを控えていたのだが、豊島家の使用人?にも目で問いかけられ、疑問を口にする。
 「ああ。日本では浜島が有名だけどな」
 「浜島?」
 「ええ。その名のとおり砂浜だけの島だからなのですが、満潮時には海へ沈み、干潮時には海面から姿を現します」
 「へえ!」
 初めて聞いたつくしが、驚きの声を上げる。
 「あんた…、代表はご存知だったんですか?」
 「まあな、西表島付近、小浜島と竹富島の中間あたりにある無人島。珊瑚礁の形成した島や浮島なんかの仲間だな。この辺にも似たような島がいくつかあるのは知っていたが、道明寺は収益に繋がらない様なものはリゾートとはいえ保有しないからな」
 すくめた肩が、酔狂な、と呆れているのが明らかで。
 「豊島リゾート開発の目玉でもあります。浜島と同様砂浜のみの島ですが、その日によって形を変えますし、珊瑚礁も美しい」
 「ま、お前には珍しいだろうし、一見の価値はあるんじゃね?」
 目を輝かせるつくしに苦笑して、受け取ったキーを片手に、司がつくしへと手を差し出し、船へと進む。
 「…二人っきりで海の散歩とシャレこむか」





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