FC2ブログ

「アネモネ…全171話完+α」
第二章 Platonic Sex②

アネモネ070

 ←アネモネ069 →アネモネ071
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 司が目を覚ましたのは、もう正午にも近かった。
 さすがの彼も体力の限界だったのだろう。
 NYでは自分の身体を虐めるように自ら激務に挑み、ロクな休息も取らないままに走り続けた。
 むしろ余暇があることが嫌で、身体を疲れさせるためだけに、女たちを抱き潰すまで荒淫を繰り返した時さえもある。
 だが、概ね仕事さえあれば、短調で退屈な彼の日常は常に忙殺され何も考える暇などなく、気がつけば1年、さらに5年、10年と、不眠症と上手く兼ね合いをつけながら生きてきた。
 学生時代と異なり、決まった起床時間に目が覚める習慣ができている。
 どのみち不眠症なのだから、自ら望んでもいつまでも眠っていられない性質であるのだし、よしんばいくら寝ても、良質の睡眠を得られなかったツケは翌朝に持ち越され、大抵軽い偏頭痛に不快感を余儀なくされた。
 だが…なぜか、今日に限ってその兆候がない。
 いや、少し前…日本に帰ってきてから、か?
 …まさか、あの女がいるから、とかそんなバカなことあるわけねぇよな?
 ふと浮かんだつくしの顔に、自分で自分にツッコミを入れて苦笑する。
 まあ、確かにあれだけヨかったセックスは初めてだった。
 スッキリした軽快な気分に、大きく伸びをして、「ふわわわわ」と欠伸する。
 「そういえば、あの女、まだ寝てんのか?」
 体力のある自分でさえこの時間の起床だ。
 あれだけ疲れきって、隙があればぐーすか寝ていた女のことだから、さぞや死んだように寝ていることだろうと、つくしの寝顔を想像して楽しむ。
 楽しい…。
 妙にウキウキした気分だ。
 司は上機嫌にベッドから降り、少し考えて…寝た時のまま、全裸のままに続き部屋の、つくしが寝ているはずの部屋へと向かう。
 朝から快楽を貪るのも悪くない。
 欲望はあらかた解消されていたが、司はまだ30才。
 体力もある方で、まだまだ旺盛な精力を持て余し、連日女を抱くくらいなんということはなかった。
 ただまだ未婚で、常にそばに置いている女がいなかった為に、学生時代はともかくそうした精力のはけ口を女にではなく仕事に向けていただけのこと。
 それでも不満はなかった。
 ストイックだったわけではもちろんない。
 ただ、彼にとって女は食事と同じと言ったように、それは仕事も同様で、彼の人生全般がそもそもそんなものにすぎなかったから。
 溜まれば商売女なり、適当な女を抱き、発散し、そして後腐れもなく別れる。
 後腐れがないのは司だけであったとしても、面倒になればなんでも金で解決できないことなどなかった。
 その繰り返しの数年間。
 子供さえ作らなければ、あれほど高校生の頃には口煩かった母親も、息子の性生活にまで口出ししようという気はないらしかった。
 続き部屋にはドアがついていない。
 それはそうだろう。
 元々、そういうプレイを愉しむための施設なのだ。
 申し訳程度に別室になっているのは、複数人数引き入れた場合の予備室でしかなかった。
 そして、司自身…やることをやれば、いつまでもそんな場所に滞在などすることはなかったし、よしんば宿泊する時にでも女たちを留まらせたことがない。
 用がなくなれば金を払って追い出す。
 ただ、それだけのことだったのだ。
 今日はどうやって喘がせてやるか妄想しつつ、むしろ急に寝ているところへと襲いかかった時に見せるだろうつくしの驚いた顔を想像するのが楽しかった。
 が…。
 「…いねぇ」





 遡ること数時間前。
 つくしが目を覚ましたのは、司よりもずっと早かった。
 やはり任務中という職業意識なのだろう。
 起き上がったカラダは、まるで自分ものではないように重くだるくて…ため息をつかずにはいられなかった
 「…サイテー、喉ガラガラ」
 終わりの方はほとんど覚えていないが、情事の場所が浴室だっただけに、カラダがわりに清潔なのだろうかと悩む。
 …まさか、あいつが綺麗にしてくれたとか?
 ないない。
 ありえないことだと否定する。
 それにしてもいつの間に、ベッドに入ったのだろう。
 とりあえず重い頭をスッキリさせようと、ヨタヨタとベッドから抜け出した。
 「勘弁してよ。何がSPの職務に差し障りがないように…よ。めちゃ、差し障りあるっつーの」
 かなり体は鍛えている方だと思うのに、よほど普段使わない筋肉を使ったのか、股関節の周囲や太ももの内側の筋が筋肉痛で痛くて、まるで強化訓練の罰でヒンズースクワットをさせられまくった後みたいだと憤る。
 だが、憤りの半分は、羞恥が含まれているのは認めたくない。
 認めてしまえば、昨日…すでに今日だったか…の情事が思い出されて、悶絶死ものの恥ずかしさだ。
 それに。
 …なんか、まだふ、太いものがアソコに挟まってる気がする。それに…ヒリヒリっていうか。
 いやいや。
 普段意識しないところを大いに意識させられ、誰もいないのに、一人で照れて周囲を見回したり。
 思い出すとあらぬところにその感触が蘇り、じんわりとした疼きが走って一人動揺して頭を振る。
 「そ、そうだ!べ、ベット」
 確か、司は呼ぶまでは誰にも来るなと、ここの管理人?的な人物に言っていたはず。
 だったら、まだ昨夜のまま手付かずで『現場』は残っているはずなのだ。
 「しょ、証拠隠滅図らないと」
 …犯罪者か。
 自分で自分に突っ込む。
 一応大丈夫だとは思うが、隣室の司の様子を伺ってから、さっさとシャワーを浴びて彼言うところの『ヤリ部屋』の後始末をすることにする。
 …せ、洗濯機なんてきっとないよね。
 それでも汚れたシーツをまとめたり、とんでもないことをしていた床をチェックすることはできるだろう。
 服だって脱ぎ散らかしたままにしていた気がする。
 ドアをノックしようとして、部屋と部屋の間にドアがない!?
 「続き部屋なんだ」
 とりあえず、プライバシーを考慮して部屋には入らず、入口でベッドの司を観察するに留める。
 広い部屋だったが、どうやら頭痛に転げまわったり、…悪ければ死んでいたりすることはなさそうで、規則正しい寝息が聞こえていた。
 つくしだって、自分が心配しすぎだというのはよくわかっている。
 司の頭痛は、何かの病や怪我ではなく、12年前の事件が原因での精神的?なものなのだ。
 けれど、せめて自分がここにいる間は司を見守りたい。
 彼の幸福にもはや関与する資格も権利もありはしなかったが、ホンの短い間のことだが彼の肉体だけでも守ってあげたかった。
 たとえ、それが彼女の自分よがりなエゴにすぎないのだとしても。
 それでも、彼を守ることでその思いを昇華して、自分の人生を生き直したい。
 司を利用している。
 そんなことはわかっていた。
 でも、それでも…。
 つくしの為に生まれもった人生さえも捨てて、彼女への愛を貫こうとした司。
 あの時の彼ほどには彼を上手に愛してあげられなかったせめてもの罪滅ぼしに、今の自分にできる精一杯で彼に尽くせたら…。
 「あんたを忘れられるよね」
 もう手をこまねいて、彼が死んでゆくかもしれないところを見ていなければならなかった無力な少女ではない。
 息を吐いて、とりあえずどんよりした頭と身体をリフレッシュするためにシャワーへと向かった。





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【アネモネ069】へ
  • 【アネモネ071】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【アネモネ069】へ
  • 【アネモネ071】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク