FC2ブログ

「アネモネ…全171話完+α」
第二章 Platonic Sex①

アネモネ047

 ←アネモネ046 →アネモネ048
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 悲鳴は喉に張り付いたまま、震える唇を噛みしめて、つくしは司の胸へと顔を隠した。
 羞恥でいますぐにでも、どこか遠くへと消えてしまいたい。
 今までの人生で…これほど恥ずかしい、情けない気持ちにさせられたことがあっただろうか。
 周囲の視線が痛くて涙が出て来る。
 …なんのつもりなのよ。
 そう思う端から、答えなんて簡単に思いついた。
 ただ単に、つくしを辱めたいのだ、この男は。
 つくしの恥らう様を愉しんでいる。
 『俺の娯楽相手であることに徹しろ』
 そういうことなのだと思う。
 司にとって遊ぶ相手は人間じゃない。
 今更傷つくなんて、おセンチにもほどがあるだろう。
 胸の中を滑り落ちてゆくような凍える何かと、ふつふつと湧き上がる怒りと。
 一見慰めるように優しく頬を撫でる司の手さえも厭わしくて、噛みついてやりたい衝動を必死で堪える。
 だが…。
 「わかりました。菅原君、資料をお出しして」 
 溜息をついた西田の声はさすがに冷静だった。
 何事もなく傍らの青年へと指示を出し、一礼をする。
 呼びかけられた菅原の方は、赤らめた顔で視線を彷徨わせ、それでもさすがに上司の指示に我に返った。
 「は、は、はいっ」
 だが、うわずった声は動揺も顕わで、なおいっそうつくしを居た堪れない気持ちにした。
 いま、この膝を降りて、二人の横をすり抜けてゆくことは可能だろうか。
 どちらにせよ、たとえ執務机と司の自身の背中で詳細は隠されていようと、何をしていたかなど一目瞭然だろう。
 くるりと椅子を回転させ、司が秘書たちへと向かい合う。
 もろに自分の後ろ姿がムキだしにされてしまったが、背中を向けられただけまだ気分も楽だった。
 こんな事態を好んで引き起こして喜んでいる目の前の男の破廉恥さが厭わしく、憎らしい。
 …この野郎。
 羞恥に耐えながらも、男たちが打ち合わせている事柄を心に止めてゆく。
 何が、必要で、不必要な情報になるかわからないのだ。
 つくしは、ただここへ司の愛人になるために来たのではない。
 ただ司に弄ばれて嘆いているのでは、今こうしている自分の行動さえも無意味なものになってしまう。
 「…ふん、九州の新興勢力だってか?どうせ、欲の皮が突っ張った成金親父が、たまたま成功したってだけだろ?」
 「それでも、今ではアラビア半島一帯で石油に関して、大河原に近いシェアを占めています」
 「今日本に戻ってきてるのか?」
 「ええ、会長の次男の将成氏ですが、奥方を連れて数日東京に滞在し、その後、日本での本拠地の博多へ戻るそうです」
 「最近娶った女房が、サウジあたりのハーフだったよな」
 「ええ…。どちらにせよ、アメリカを中心に展開してる道明寺とは今まで接触する機会を得られなかった相手です。今回の代表の来日の目的の一つには違いありません」
 「かったりぃが、仕方ねぇか。来週会食の予定入ってるんだろ?」
 「はい。代表との会食を最後に、ご夫妻は東京を出立されるようですが…」
 そんな会話の間も、不埒な指がつくしの身体を悪戯に這い回り、つくしは必死で洩れてしまいそうな声を堪える。
 すでに快楽はどこかへと遠のき、今は司への怒りと、会話の内容に意識を集中することで、あられもない声をあげることは避けられていた。
 さすがに名だたる道明寺HDの秘書軍団。
 当初は動揺も顕わだった西田の部下である年若い秘書も、打ち合わせに集中しているようで、司が腕に抱えている『もの』も意識の外に締め出すことに成功しているらしい。
 もっとも、つくしだとて視線を合わせる自信の欠片もないので、不本意ながら司の胸に顔を埋めたままで、耳で聞く範囲の様子でしかない。
 「…ま、わかった。とりあえず、書類は用意しておいたから、もっていけよ。ついでに、うちに今、フリーランスのライターだとかいう奴がきてるらしいから、適当にあしらっておけ」
 「今回の帰国に関してのことでしょうか?」
 「どうだかな。どうせ、また俺のゴシップでも買えっつー輩じゃねぇの?フィリピンでの一件でも、ゴミがわんさと喰いついてきたしな」
 行く先々でゴシップを振りまいているような男だ、さぞや華やかな遍歴にパパラッチも書きたてがいがあることだろう。
 「……ッ!?」
 そう思った瞬間、ショーツのクロッチ部分を撫でていた男の指が、下着の際からスルリと中へと入って、ギョッとつくしは司の顔を仰ぎ見た。
 しかし、司の方は何食わぬ顔で秘書たちから視線を外さず、秘書たちの手前つくしが身動きできないのをいいことに、つくしの花弁を押し開き指を侵入させようとしてきた。
 つくしとしては、必死で下半身を後ろへと倒して、股間を少しでも司の指から反らすくらいしか抵抗のしようがない。
 …いっそのこと、このバカを殴り倒して。
 これ以上のことに及ぶと言うのなら、他人の目がどうだろうと、自分の職務が何であろうと半殺しの決意を固める。
 もっとも、この男を相手に本気でやられたら、半殺しにするどころか、返り討ちになる可能性の方が高かったが。
 「では、我々は、ここで」
 「ああ。お前がとらせたオフなんだからな、これでもう今日、明日は仕事入れ込んでくるなよ」
 「申し訳ございません」
 そこで西田が溜息を一つ。
 「…代表、人前ではお控えください」
 空気になっていたつくしの存在だったが、その一言で司と西田以外の二人がカチーンと固まる。
 「し、室長」
 小さなうわずった声で、西田がつれていた若い秘書も、それで我に返ったのがわかる。
 この場で平然と事態を愉しんでいるのは、司だけだった。
 「別にいいだろ、俺の邸だ。元々、こういう事態を見込んでお前らが送り込んできた女なんじゃねぇの?」
 「…見込んでとは?」
 「ババア…会長の思惑、警視総監の思惑、それにお前の思惑。いろいろ考えてみるとおもしれぇよな?こんな女一人で、俺を思うように動かせると思ってるやつらもヤキが回ってんじゃねぇの、とは思うが、日本に居る間の暇つぶしにくらいはなるかもな。右に倣えな女には飽き飽きしてたから、まあ、とりあえずは乗ってやることにした」
 再び、西田の溜息。
 「そういうことではありません」
 「じゃあ、どういうことなんだよ?どう見たって、こんな女一人警備に増えたところで、なにが変わるわけでもないだろ?」
 ま、この前はよくやっていたけどよ…とつくしへと顎をしゃくったのは、とりあえずの賛辞だったのか。
 …よくやったと褒める女にこの仕打ちってわけね。
 思えば、そのよくやったという事態も元々はこの男が巻き起こした女性問題だ。
 これでは、テロ国家から国の重要人物を守るという役目ではなく、下半身にだらしない男を女性たちの復讐から守る役目を振られたようなものだと、バカらしくもなる。
 「どちらにせよ、そういうことだから、社内でも融通きかせてやれよ。とりあえず…単なる外様の部外者でなくって、俺の女ってやつだからな。期間限定らしいけど?」





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【アネモネ046】へ
  • 【アネモネ048】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【アネモネ046】へ
  • 【アネモネ048】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク