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「アネモネ…全171話完+α」
第二章 Platonic Sex①

アネモネ044

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 そのために飼われてきた。
 ある意味、言いえて妙だと思いつつも、これほど傲慢な男が自分をそんな風に自虐的に表現するのを意外に思う。
 けれど、当の本人はきわめて客観的な批評を述べただけで、そんな自分を憐れだとも思ってはいないようだった。
 「…で?お前、いつまでそこで突っ立ってんの?いくら護衛だつーたって、邸で立ちん坊も無意味だろ?」
 気が付けば、なんとなく習慣でドア口に立ったままだった。
 かといって、今はつくしも仕事中、寛いでいるのも気が咎める。
 「…あ~、もし、よければ、あたしもここでパソコン開かせてもらってていいかな?」
 ただ身の回りの警護だけしていればいいという仕事ではなかった。
 何かと警視庁とも連絡は取り合っていたし、報告書やその他いろいろな書類処理も必要だった。
 「お前、まさか、なんでもかんでもうちの情報、報告してねぇだろうな」
 疑う司の懸念ももっともだったが、護衛相手のプライバシーや企業秘密の守秘義務も職務規定で定められていた。
 軍事国家や独裁主義国家ではなく、民主主義国家の日本でさすがにスパイ行為を推奨できない。
 それでも、つくしが最終的に優先すべきことは国家の利益であって、どこまで融通を効かせられるかはこの場で明言することはできなかった。
 「…とりあえず、見ざる聞かざるは基本姿勢よ」
 「ふん、まあ、お前程度が見聞きした情報なんて、いくらでも握りつぶせるけどな」
 警視総監とも繋がっている道明寺家なのだ。
 それもあながちゆえない思い上がりでもないのだろう。
 「で?いいの?あたしもここで仕事して」
 「好きにしろよ」
 「じゃあ、ちょっと部屋に戻って、パソコン持ってくるわね」
 一声かけた時には、すでに司は自分の仕事に没頭している。
 雑談している間にも手や目は動いて、パソコンから顔を上げてはいなかったのだから大したものだ。
 「…あんたはそれでも、自分の実力と努力で財閥内で確固たる力を持った。ただの馬鹿ガキのままだったら、老獪な会社幹部たちを指先一つで動かせるようにはなってなかったと思うけどね」





 ほとんど音を立てることもなく、つくしが部屋を出た。
 わりと賑やかな女なのに、足音もないのは訓練の賜物なのか。
 「…知ったふうなこと言うじゃねぇかよ」
 そうは思うのに、なぜか口元に笑みが浮かぶ。
 自分が歯車の一つに過ぎないことは自覚していた。
 だが、それは別に司に限らず、総帥である父や会長である母も同様のことで。
 いまさらそれを自己憐憫するとか、抗うとか、そんな青臭さは持ってはいない。
 それなのに、まるで司を可哀想な人間であるかのような女の同情にイラだつ。
 どこの誰が、彼を哀れむと言うのか。
 …俺の実力と努力だって?
 努力をしたつもりはなかった。
 そしてわざわざ、司の実力が財閥内での地位を確固としたなどという言うまでもない事実を口にする女の純朴さがおかしい。
 司は『道明寺司』なのだから。
 他者を圧倒するのは至極当然のことで、リーダーシップを発揮できないなどありえないことなのだ。
 そういうふうに教育された。
 そのためだけに生かされてきた。
 実の両親でさえ意識しないことを、なぜあの女は気にするのか。
 おそらく、厳重な警備で守られている邸内でつくしが常に司の傍にいようとするのも、初日に発作を見たことが原因なのだろう。
 ここ数年、もはや滅多に記憶を取り戻そうなどという無駄な努力はしてこなかったし、そのせいか、頭痛に悩まされることも稀だった。
 たとえ今も悩まされることがあったにせよ、命に係わるようなものではないのだ。
 「なんなんだろうな、あの女は、俺にとって」
 それともあの女にとっての自分はと言い直すべきだろうか。
 一時期…それもほんの高校時代という子供の頃に恋愛関係にあった。
 ただそれだけのことで、自分を忘れた男に執着するなどということがあり得るのだろうか?
 「ま、俺だからな」
 司ほどの男を逃がして惜しがらない女などいるはずもない。
 結局、あの女も司にはわからない何かを目的としているのだ。
 司からでなければ得られない何かを得ようとして、処女を投げ出し司に額ずいている。
 …それならそれでいい。あの女の目的が何であろうと。
 限られた期間の遊びなのだから、できるだけの愉しみを得たい。
 コンコン。
 小さなノックのすぐ後に、つくしが再び部屋へと滑り込んでくる。
 つくしは執務室の前のソファに腰掛け、目の前のコーヒーテーブルにノートパソコンを開き作業を始めた。
 司がキーボードを叩く音と、つくしがマウスを操る音。
 しばらくの間、その音だけが静かな執務室に響く。
 集中力は大したもので、司が密かに観察しているのも気が付かずに、つくしは一心不乱に作業に没頭していた。
 だが、司の方はさすがに長時間の作業にいささか飽いていた。
 何食わぬ顔で作業を続けながら、パソコンの画面から顔を上げず、彼は女の行動を観察する。
 夢中になった彼女はすっかり自分の世界に入り込み、片足を組んで前のめりに画面を見つめていた。
 スラリと伸びてほっそりとした白い足が目に眩しい。
 つくしの足首はキュッとしまって美しかった。
 つい数時間前まであのスカートの中のすべらかな素肌に手を滑らせていたのだ。
 男を知らななかった胎内は硬く締まり、司を拒みながらもやがては彼の力に屈して熱く包み込み、赤い花を散らせた。
 知らず知らずのうちに、司の下腹部に熱い感覚が漲ってくる。
 無意識なのだろうつくしが、自分の唇に当てていた人差し指を噛む。
 その様が、あらぬ妄想を司にかきたてる。
 どのみち、たった1ラウンドでは司の欲望を満足させることなどできはしないのだ。
 「…おい」
 あろうことか没頭していたつくしは、司の呼びかけを無視して気が付かない。
 自分でもガキじゃねぇんだから、と思いつつも、つくしの関心が一番に自分に向いていないのが面白くない。
 ガンッ。
 目の前の執務机を軽く蹴り上げてると、さすがにつくしも気が付いてこちらへと視線を向ける。
 「呼んでんだろ?」 
 「え?あ…なに?」
 驚いて目をパチクリさせているつくしの顔が小動物めいて、司は彼女を脅かしてやりたくなった。
 「…飽きた」
 「はい?」
 「そろそろ根を詰めるのも疲れてきたから、お前、俺に気分転換させてリラックスさせろよ」
 …何言ってんのよ。
 心の声がまんま聞こえてきそうだ。
 眉根を寄せて怪訝に司を見るつくしの顔が、彼の言葉を聞いて驚愕に強張る。
 「お前、ここ来て俺のを舐めろよ」





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