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「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ029

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 「代表ぉ」
 つくしにキツイ視線と声音で迫っていたとは信じられないくらいに、女の眼差しと声音が甘く蕩ける。
 が…。
 「少し、外で涼もうぜ。…この辺、熱気でけっこう気持ち悪ぃ」
 まるで、司にはそこにいる女が見えないとでもいうように、数日前関係を持ったばかりの女を完全に無視してつくしだけに話しかけてくる。
 「…え、あ、はあ」
 むしろつくしの方が、傍らでショックに打ちひしがれる女を無視できずに、曖昧に頷いていた。
 「なんだよ?気分でも悪いのか?」
 眉根を寄せ、司がつくしの頬へと手を伸ばして、屈み込んで顔を覗き込んでくるのに、つくしは大きく仰け反る。
 「代表ッ!私のこと、まさか忘れたんですか!?」 
 ブルブル震えていた女が、青ざめさせた顔を一気に紅潮させ、司へと飛びつこうと腕を伸ばす。
 「…触んじゃねぇッ」
 「ちょっ!?」
 「キャッ」
 司が振り払った反動で、女の細い体が弾かれ、倒れかかる。
 とっさに、つくしが支えようと腕を伸ばすも、自分より長身の女を支えきれずに、たたらを踏みかける。
 …やだ、倒れるッ。
 女と折り重なるように倒れ伏し…かけた。
 だが、胴に回った男の力強い腕が、すっころびかけたつくしを支えて抱き抱えてくれた。
 「アホ。…俺を守るのが仕事のお前が、他の人間助けるのにコケてどうする」
 耳元で囁かれた声音は、憮然として叱咤するものだった。
 けれど、首筋に吹きかけられた温かな息遣いが、腹に回った大きな手の感触と共につくしの胸に小さなさざ波を引き起こす。
 「…ハァッ。たく、面倒くせぇな」
 呟かれた言葉はつくしに向かってではなかった。
 まるで虫けらでも見るような目が、尻餅をついた女を一瞥し、司は侮蔑の表情を浮かべ鼻を鳴らす。
 「娼婦風情が、なにこんなところに紛れ込んでるんだよ」
 「「え?」」
 驚いたのは娼婦呼ばわりされた女ばかりか、つくしも同様で。
 女の顔が、何を言われたのかと茫然と司を見上げたまま、ショックに固まっていた。
 「金なら払っただろ?」
 「ち、違う。違います!私、あたしは、そんな女じゃッ」
 「じゃあ、なんで行き擦りの初めて会った男なんかにノコノコついてきたんだよ?だいたい、お前の方が俺に自分と一晩過ごさないかと持ち掛けてきたよな?」
 …あんたが、それを言うのか。
 むしろ、つくしの方が義憤を感じて、眉根を顰める。
 周囲の人間たちも、当然注目の的である司を遠巻きに見つめて、ヒソヒソ声を交わし合っていた。
 司には世間体すら感じていないのか、平然と目の前の女を侮辱し、居直っている。
 「金も受け取ったんだろ?」
 「そ、それは、渡されたから…」 
 言いたいことや、釈明したい言葉はたくさんあるのに、司の威圧に打たれて女はシドロモドロだった。
 「目障りだ。…つまみ出せ」 
 「そ、そんな」
 あげくに、女の言い分を一顧だにせず、追い出そうとしている。
 つくしは司の護衛であって、女を守る義理も謂われもないのに、気の毒で見ていられなかった。
 「代表、やりすぎです」
 つくしが思い余って諫言するのに、司がチラッと振り返る。
 「…行くぞ」
 「ちょっと!」
 司がそのままつくしの二の腕を掴んで、強引にその場を立ち去ろうと足を踏み出す。
 事情を知らなくても、道明寺司の命令は絶対だった。
 会場を取り仕切る会場係たちが戸惑ったように顔を見合わせ、それでもうちしがれて涙ぐむ女の両腕をとって左右から立たせようとした。
 だが、女は会場係の手を振り払いフラリと自力で立ち上がって、物見高い野次馬を掻き分け、涙に濡れた顔を拭いながら出口を目指す。 
 後ろ髪を引かれる思いで、司に引きずられるように腕を引かれながら、背後を見ていたつくしの目に、女が料理を並べたテーブルにぶつかり突っ伏すのを目にする。
 …ひどすぎるよ、道明寺。
 確かに行き擦りの男の誘いに乗って(どちらが誘ったにせよ)、一夜を過ごすなど軽率に他ならない。
 だが、相手は道明寺司なのだ。
 顔も知らない誰ともわからぬ相手などでない。
 誰もが崇敬する有名人の男。
 そんな男に声をかけられ、夢を見ずにいられる女などいるだろうか。
 むしろ、つくし以外の周囲の人間たちの嘲笑は、司にではなく、恥をかかされ娼婦扱された女の方へと向かう。
 『…たしか、村越常務の』
 『ええ、破廉恥なお嬢さんですこと』
 『お宅のお嬢さんともお付き合いされてたんじゃありませんでしたっけ?』
 『まさか。あんなふしだらな娘と、お付き合いなんてさせたりしませんわ』
 クスクス笑いが、啜り泣く女へと陰湿な追い打ちをかける。
 『やっぱり、元庶民の成り上がりは身の程知らずですな』
 「なによッ!」
 つくしを引きずってバルコニーに出る窓辺の傍までたどり着いていた司が、掃き出し窓に手をかけたところだった。
 「このサイテー野郎ッ!!」
 女が驚く周囲の人間を突き倒す勢いで、司へと殺到する。
 振り返ったつくしが、女の手に握られた何かに気が付き、とっさに司に覆いかぶさろうと抱き付く。
 「思い知りなさいよッ」
 ビューッ。
 「「「「「キャアアアアッ!!」」」」





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