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「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ026

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 ダイヤとルビーが埋め込まれた天体の星…土星。
 確か、思い出の野球ボールやうさぎのヌイグルミと一緒に、司につき返したはずだ。
 …まだ、持ってたの?
 信じられない気持ちで。
 「どうした」
 「あ…、いえ、これ」
 自分でやると言うだけあって、存外に器用に腰に包帯を巻き終った司が、つくしの差し出すネックレスを覗き込む。
 「…?俺のじゃねぇな。女もんか。使用人が勝手に入れておいたんだろうが…」
 怪訝な顔の司に、やっぱり憶えてないかとほろ苦い気持ちが湧き上がる。
 「…やろうか?」
 「え?」
 つくしの顔に何を思ったのか、司は彼女の掌からネックレスを取り上げ、なにも返事をしていないというのに彼女の首に手を回し、勝手につけてしまう。
 ひんやりとした感触は、12年ぶりだと言うのに不思議に懐かしくて、気が付いたら土星のペンダントヘッドを手に取り、ジッと見入って動けなくなってしまった。
 「ずいぶんガキっぽいデザインだけど、どうせ姉ちゃんのかなんかが紛れ混んでたんだろ。そんな物欲しげな顔して、お前みたいな色気ねぇ女でもやっぱ女だな…あ?」
 嘲る口調ではなかったけれど、訳知りげな物言いにムカついたわけではなかった。
 「なんだよ、やるって言ってんだろ?」
 不愉快さが滲んだ司を無視して、ネックレスを自分の首から外し、元の場所に戻して、いいつけられていた腕時計を取り出す。 
 「どうぞ、これでいいですか?」
 「…ふん、可愛げねぇ女」
 …もうあれはあたしの物じゃない。
 そして、投げ与えるように司から再び下げ渡されるなど、絶対に嫌だった。
 それくらいなら、こうして他の物がそうであるように、忘れ去られたこの部屋の思い出と共に、箪笥の奥底で仕舞い込まれていた方が何十倍もずっとマシだ。
 つくしの渡した腕時計を身に着け、手早く着替えて身支度を済ませると、司はさっさと部屋を出てゆく。
 つくしはその後姿を見送り、とりあえず自分も身支度を整えるために、仮の宿に借り受けている昨日までの司の部屋の隣の部屋へと戻るために踵を返す。
 部屋を出しな、つくしはチラリとクローゼットを振り返っただけで、後はもう土星のネックレスのことは念頭から消し去り、前へと足を踏み出した。





 「…その後、東洋商事の創立記念パーティへ参加することになっております」
 「ふん。日本に戻ってきても、顔繋ぎはしなきゃなんねぇのはかったりぃよな」
 西田の告げるスケジュールに耳を傾け、重厚な執務椅子に腰かける司の態度は相変わらず偉そうだった。
 長い両足を怠惰に執務机の上に投げ出し、どうみてもだらしない格好なのに、そう見えないのはこの男の生まれながらの気品によるものなのか、それとも育った環境ゆえに身についた上品な仕草ゆえなのか。
 「パートナーは、予定通り牧野さんにお願いしております」
 「…牧野?」
 司と西田が視線を向けると、部屋隅に置かれた椅子に腰かけ、スマートフォンを覗き込んでいたつくしが視線に気が付き会釈で返す。
 耳に装着したイヤホンとこのスマートフォンで、警備室の連中や各所の警備員たちと連絡を取りあい、常に情報交換を交し合っているのだ。
 「ふ…ん」
 司は少し考え込み、足を下ろして体を起こした。
 と…。
 トントン。
 「…入れ」
 「コーヒーをお持ちしました」
 初日に司の性処理をした女秘書だった。
 何食わぬ顔をしているが、さすがにつくしと顔を合わせるのは気まずいようで、面と向かっては大概視線を反らされたが、司と連れ立って歩いていると時折刺すような視線を向けて来る。
 無用にライバル視されているのは、つくしもわかっていた。
 そういう視線には学生時代、さんざん晒されていたので、本来は鈍いつくしにも容易に察知できる。
 …あれだけ酷い扱いされても、懲りないなんて。
 司に一夜の相手をさせられた女同様、つくしには理解できない人種だ。
 結局、あの日…F3との帰国祝いの飲み会でお持ち帰りした女も、朝も早々、商売女よろしく金を支払われさっさと追い出された。
 女的にはどうやら一夜の関係とは考えていなかったようで、気に入られて、恋人とまではいかないまでも、それなりに何度か継続した付き合いを持ってくれるものと勘違いしていたらしい。
 実際、女秘書に対しての時に比べ、司の態度もかなりソフトだったように、つくしも感じていた。
 少なくても、女が一方的に迫って纏わりついていると言うより、司にもそれなりに誤解される態度があった様に思う。
 それが女を釣るための常套手段なのだろうと見当はついたものの、傲慢不遜を地で行く司が総二郎やあきらよろしく女に愛想を振りまくなんて、目の前にしても信じられなかった。
 …ま、愛想を振りまくっていうより、とりあえず許容してるって程度だったけど。
 見下したような侮蔑的態度と自分勝手な言動を我慢できるなら、冷笑されて追い払われるよりは許容されていると、女も考えやすいのだろう。
 金、地位、名誉、家柄、それに司自身の顔やスタイル。
 確かにどんな女にとっても垂涎の的な男なのには違いない。
 「…おい」
 最初、室内にいる人間…西田、つくし、女秘書の三人は、司が誰に声をかけているのかわからず、互いに顔を見合わせた。
 「お前だ。藤枝だったか」
 「は、はいッ!」
 1週間目にしてだったが、初めて名前を呼ばれた嬉しさに、女秘書の顔が誇らしさに紅潮する。
 「お前、パーティとか興味あっか?」
 「「え?」」
 「……」
 声をあげたのは藤枝とつくしだけだったが、西田も驚きを隠せず眉根を寄せている。
 ニヤニヤ笑ってつくしを見る司の意図は明らかだった。
 なにをどうしたいのか、この男はやたらとつくしに自分の女性関係を見せつけて、つくしを揶揄したがる。
 さすがに、この一週間で司が連れ込んだのは先日の女性だけだったが、いかにも体力自慢な肉食系の司がそちらの欲望も旺盛なのはつくしにもなんとなく察せられた。
 …まあ、アメリカでも何かと女性スキャンダルを巻き起こしていたみたいだし。
 よくこんな男と婚約する令嬢がいるものだと思うが、しょせん彼らの結婚は会社の利益を考えた政略的なものなのだ。
 「…代表。日本滞在中のパーティは、牧野さんをパートナーとして出席していただけるようお願いしてあったはずですが」
 「なんだよ。俺にあんな色気ねぇ女と同伴しろってか?」





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